エネルギー基本計画見直しの議論について

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1.エネルギー基本計画とは?

日本において、国民の多くが反対しているにも関わらず原子力発電所(以降原発)が再稼働され、年々気候変動の自然災害が拡大しているのに、石炭火力発電所が大量に新設され、再生可能エネルギー(以降再エネ)の普及が頭打ちになっている理由をご存じでしょうか? その大きな要因の一つがどのエネルギーをどれくらいの割合とするかを定めた「エネルギー基本計画」です。 

この計画では、2030年に再エネ22~24%、原発20~22%、石炭火力26%(いわゆるエネルギーミックス)を目指しているために上述のような状況になっており、再エネの拡大、原発ゼロ、石炭火力の早期全廃の実現には、この計画値の抜本的に見直しが必須です。 

また、日本の温室効果ガスの削減目標は2030年26%削減と、野心的な目標を掲げる国々に比べ極めて低い目標であり、国内外から大きな批判の的になっていますが、この目標値はエネルギーミックスを元に定められているため、エネルギー基本計画が削減目標見直しの大きな足かせとなっています。 

このエネルギー基本計画は、少なくとも3年ごとに見直しすることになっており、その議論が2020年10月より始まっています。

www.enecho.meti.go.jp

 

 2.見直し議論の課題

2020年10月26日に菅義偉首相が2050年までに脱炭素社会の実現を目指すことを表明したことで、脱炭素への移行を表明する企業が相次ぐなど、脱炭素を巡る産業界の状況は一変し、本分科会でも脱炭素社会の実現が主題となったことは歓迎すべきことと考えます。

 一方で、これまでも脱炭素社会への移行の必要性を訴えてきた環境NPOや専門家からは見直し議論の問題点も指摘されており、そのいくつかを紹介します。

 

(1)1.5℃目標を目指していない

なぜ2050年の脱炭素社会の実現が必要なのかの議論が見受けられません。地球の平均気温を産業革命以降1.5℃以下に抑えることがその目的ですが(1.5℃目標)、そのためには2030年に温室効果ガスの排出量を半減する必要があるということが国際社会で広く受け入れられています。本分科会ではパリ協定の1.5℃は努力目標という過去の状況が前提の議論となっているようで、あと10年で社会システム自体を大きく変革する必要があるとの視点、議論も今のところ見受けられません。これでは、1.5℃目標の達成に貢献できないだけでなく、取引先に再エネ100%を求めるグローバルな企業活動から日本企業が締め出されたり、輸出品に関税がかけられてしまうことも懸念されます。次回から2030年の議論が始まるので、内容を注視していきたいと思います。

 

(2)将来のイノベーションに依存

今回の議論では、火力発電で排出されるCO2を回収し、貯蔵したり、利用する技術(カーボンリサイクル)や水素、アンモニアが燃料の火力発電(ゼロエミッション火力)など、将来のイノベーションが大前提になっています。しかし、これらのイノベーションには経済合理性や技術的障壁、調達先の確保など今後解決しなければならない様々な課題を抱えており、実現性が不透明と言わざるを得ません。

 一方、欧州などでは風力発電太陽光発電などの天候に左右される電源(変動性再エネ)を大量導入するためのシステム改革や技術革新(セクターカップリング、電力システム改革など)について活発に議論され、取り組みも進んでいます。本分科会でも再エネを最大限導入するとしながらも、欧州に見られる変動性再エネ導入の議論が見受けられません。

 また、既存技術をいかに普及、拡大させるか、グリーンな経済へ移行に伴って生じる雇用の移動を円滑に行うための議論(公平な移行)も置き去りにされており、足元をしっかり固めた国民が安心して暮らせる社会にするための議論が望まれるところです。

 

(3)議論の体制

この日本の将来を左右する大切な議論を担うのは産業界や大学、研究機関から選ばれた24名の委員の方々ですが、脱炭素社会を担う柱であり政府が最大限導入を目指すべき再エネの専門家がほとんどいない、気候変動対策が不十分であればより多くの被害を受けることになる若い世代は委員におらず、60代、70代の委員が7割近くを占めるなど、委員の構成が偏っているとの指摘もあります。また、多くの委員が脱炭素社会の実現には原子力発電所の新設や更新が欠かせないと発言するなど、世論との意識に大きな乖離がある論点もあります。そもそも、すべての人々の将来に関わる重大なこの議論が一省庁と産業界寄りの委員のよって大きく方向づけられてしまうこの現状は大きな課題と言えるでしょう。

 

 3.私たちにできること

 1月27日よりエネ庁が国民の意見を受け付ける「意見箱」を設置しましたので、より多くの声を国政に届けて、あと4年が以下に重要であるかを認識していただきましょう。

www.enecho.meti.go.jp

 

また、日本でも自分たちの将来を憂う若者たちが声を上げ、素晴らしいキャンペーンを展開しています。署名も受け付けていますので、ぜひご協力をお願いします。 

ato4nen.com

 
Photo by websubs.

2020年のエネルギー収支

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2020年のエネルギー収支

去年10月、政府が2050年カーボンニュートラルを宣言し、にわかに脱炭素化に向けた動きが活発になってきた感がありますが、1.5℃目標を達成するには甚だ心許ない状況な訳で、まだまだ頑張らないといけないと思う今日この頃ですが、今年も恒例の我が家のエネルギー収支(光熱費収支)を振り返ります。今回はリーフへの切り替え2年目で前年と同じような傾向でした。

  • ガソリン代減(14,966円 ⇒ 9,086円:軽トラ分)
  • 電気代増(15,925円 ⇒ 18,270円:リーフへの充電)
  • 売電代減(128,310円 ⇒ 114,072円:リーフへの充電と日照不足で発電量自体減)

光熱費は年間66,574円、売電との差し引きで47,498円の黒字となりました。

10年間続いた42円の売電も今年で終了、いよいよ卒FITです。昼間リーフに充電した電気を夜間家で使うための Leaf to home というシステムを導入するという選択肢もありますが、バッテリーの劣化が少し心配なのと、電力消費自体が少ないので、あまり意味がないような気も...

それより、リーフへの充電で買電が増えているのを何とかしたい(母屋の太陽光パネルの枚数では充電を賄いきれない)のと、裏磐梯の屋根載せ太陽光発電をもっと増やしてCO2を削減したいということで、こびっとハウスに太陽光パネルを載せることになりました。詳細やリーフを使っての感想など、後日このブログにアップしよう思います。

 


 

SDGs 気候変動に具体的な対策を〜森と自然エネルギー〜

 

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去年の裏磐梯エコツーリズム協会主催の森林講座に続いて、今年も裏磐梯サイトステーションにて、講座を担当させていただきました。

今回は、SDGsを学ばれている会津地域のガールスカウトのみなさんを対象に、気候変動と森の循環のお話をさせていただきました。

SDGsの視点からも、再エネ拡大と森林保全は両立する必要があること、気候変動を根本原因から解決するには循環型社会に転換する必要があり、そのお手本として私たちは自然や森から多くのことを学べるはずであること、コロナ禍や気候変動はそうした方向に社会を大きく転換するチャンスであること、などを小学3年生にも伝わるようになるべく体験や双方向のやり取りを心がけました。が、ちょっと難しかったみたいです(汗)。

 

当日はFMきたかたの方が取材にいらして、後日、講座の様子を放送してくださいました(5分番組×4回)。分かりやすくコンパクトに編集いただいたので、許可を得て録音した音声を公開します(9分ほど)。外で刈り払い機が複数稼働してたのでノイズがあります。(Dropboxのアカウントがなくても聴けます)

www.dropbox.com

目指せ、2030年CO2排出ゼロ

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恒例の年初の我が家のエネルギー収支(光熱費収支)です。2019年は、いよいよ気候変動の脅威が差し迫った現実として立ち現れてきたこと、消費税増税、今後の日本経済の冷え込み予測などを鑑み、リーフへの切り替え、家の断熱(全面二重サッシ化)と思い切って大型出費を行いました。

4月頃からEV車に切り替えたことで、ガソリン代は大きく削減する一方、電気代は増加(11,146円⇒15,925円)、売電代は減少(131,166円⇒128,310円)しました。ちなみに、中古リーフ購入時のキャンペーンで4年間は急速充電無料(それ以降は30,000円/年かかります)。ということで、光熱費は年間76,137円、売電との差し引きで52,173円の黒字となりました。

 

交通部門のCO2の排出量を下げる道筋がついたので、今後は熱部門(灯油給湯、ガス調理)を何とかしたいところ。去年、Earth Spiral として、個人として、気候非常事態を宣言しまして、「2030年までに敷地内から発生するCO2をゼロにする」ことを目標に掲げたいと考えています。来年6月には卒FITを迎えることもあり、余剰電力をいかに活用するかが課題となってくるのでその点を考えていきたいところです。

 

ヨーロッパではお天気任せの風力、太陽光発電を基幹エネルギーとするための法整備が着々と進んでいるそうで、天気により過剰に供給される電力をいかに平滑化するかを考えたとき、電力部門だけでなく交通部門(EV車など)や熱部門(ピートポンプなど)に分散させていく方向性なのだそう(セクターカップリングというらしい。詳細は末尾の動画をご覧ください)。そうした再エネ100%の社会の方向性に沿って行くという意味では、我が家も熱部門ではエコキュートを導入して脱炭素化を図る方向性もありなのかな、と考えている今日この頃です。

 

(参考)

 

 

クライメイト・リアリティーのトレーニングに参加しました(その2)

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レーニング二日目。前日得た知識を踏まえ、これからクライメイトリアリティーのリーダーとして行動に移していくために、仲間同士がつながり、自分の行動計画を立案し、今後の行動を自分に誓う時間。

といっても、疲れも溜まって集中力も途切れがち。それでも、会場の熱気と美味しいビーガン料理のおかげで体調も良くなったみたい。二日目は、具体的に気候変動に立ち向かっている際立った事例がいくつも紹介されて励まされた気分。こうしたトップランナーの動きを(一日目の学びによれば)体験し、それを広げていくことが大切なのでしょうね。

一日目の引き続き、覚え書き(しかもだんだん雑なメモに)です。

東京都の取り組み(小池知事)

  • 21世紀は大都市の時代。U20(Urban 20)で他都市と連携し、廃棄物や大気汚染、水の問題に取り組んでいる
  • キャップ&トレード(CO2排出量取引制度)の導入により、2000年に排出量がピークアウトし、2017年には23%削減を実現している
  • 都のGDPは増加傾向にあり、排出量とのデカップリング(経済成長とエネルギー消費の切り離し)に成功している
  • RE100の理念に基づき、今年の8月から都庁舎を再エネ100%の電力に切り替えている
  • ZEV(ゼロエミッションビークル:電気自動車、プラグインハイブリッド自動車燃料電池自動車)を2025年までに2倍にし、2030年までに5割を目指す。購入時に30万円を助成する。2030年までに急速充電設備を1000基
  • プラスティックごみの削減では、2030年までに焼却を4割削減し、総量を70万トンから40万トンに削減する
  • 適応策について、Tokyo Green Bonds が3年目を迎え、200億円となっている

変化をもたらす企業

  • 国内の危機感が希薄であり、世界の潮流に遅れている
  • 世界の潮流は、talk → walk → action → possitive impact up → negative impact down であり、いかに再エネを増やすか、いかに化石燃料を減らすかに焦点が移ってきている
  • 気候変動対策は、ネットゼロに向かう競争であり、ビジネスが起こした問題なのだから、ビジネスが解決するのだという意識が大切。金融が鍵となっている
  • ソニー:金融の動きがきっかけで、トップの意思により環境活動が活発になっている。ダイアログを重視している
  • パタゴニア:従業員の生活への配慮が大切。若い人が働きたい会社が良い人材を確保できる時代。顧客は消費者ではなく、社会を変えるパートナー
  • GPIF(日本の年金の積立金を運用管理する世界最大の機関投資家):年金の運用は100年持続可能であるべきで、長期的視点が重要だが今の金融界にはその視点が欠けている
  • 気候変動リスクは長期的に重要であり、そのコンセプトを訴え、アウェアネスを高める必要がある
  • 石炭への投資家には変化を促している。TCFDが推奨するシナリオ分析によりアウェアネスを高めてもらう。ムーブメントになりつつある。
  • JPモルガン:環境金融は長らくマイナーなものだったが、ESG投資の急拡大により180度の変化が起きている。
  • 気候行動サミット前日の国連会議では、パリ協定やSDGsと整合する金融について議論した

    まとめ
  • 個人が個人としてモノを言えない企業文化を打破しよう
  • 企業は気候変動イニシアティブへの参加を!
  • 「温暖化との戦いに負けるな!」「世界は目覚め始めている。あなたが好むか好まないかにかかわらず」 

会場からの質問への回答

Q) 懐疑派対策はどうすれば?
A) 国内でも多くの人は主流の考えを支持している。反原発の人たちの中には、原発推進の人たちが温暖化を利用したことから、温暖化に懐疑的な立場をとる人もいる。そこにあまり時間を取られるより、必要なことに集中した方が良いのかも。

Q) 高度経済成長期を牽引してきて、今は自分たちが気候変動の問題から取り残されていると感じている人たちを取り残さないためには?
A) 経済を発展させてくれたことへの感謝の念を忘れずに。彼らのせいではないのだから。再エネへの移行を共に。公平に移行しよう。
石炭、石油産業が電力販売に転換するなど、自由な市場が大切

Q) 原発の役割は?
A) 江守氏:運転時にはCO2を排出しないし、排熱も温暖化には寄与しないと考えるが、事故リスク、廃棄物、核拡散、作業員の人権などの問題をかかえており、しっかり議論する必要がある。100%再エネは可能と考える。小型原発の可能性は否定しない
ゴア氏:父は原発推進派で、自分も議員としてサポートしてきたが今は大きく失望している。それは莫大なコスト。建設費の増大、住民の反対、廃棄物の地下貯蔵。第三世代の原発はより高コストで、誰もそのコストも建設期間も答えられない。第四世代は小型で安価ではあるがそもそも存在していない。専門家によれば15年以内に成功するかは分からない

Q) 嫌われないように伝えるには?
A) 個人の選択の問題であり、変化は政策や法律、補助金の出し先などに求めよう
関心のない人にはREDD+の例のように途上国の参加を促す(温暖化対策が経済的にもメリットになる仕組みの提供ということ?)
若い人たちが声を上げることのインパクトは大きい。
日本文化では他の人と違うことがしづらい。自信ある幸せそうな笑顔がリーダーシップになることも。
LGBT同様に何が正義なのかは時代と共に変化する

Q) 日本では誰を説得すべき?
A) 私たちは選挙で誰を選ぶのか? 気候セキュリティーの議論が少なすぎる。社会不安や家を失う人などの社会的側面について、日本の研究者も及び腰になっている。
消費や投資で選択し、選挙の争点となるように、政界や財界により強いプレッシャーを。
Fridays for Futureが東京都へ気候非常事態宣言の請願書を出したように。

Q) 脱炭素はどうしたら?
A) 永久の経済成長はできない。4つの政策が大切(非エネルギー、脱炭素、エネルギー削減など)。シェアリング・エコノミーなら生産や排出量を減らせるし、人同士がつながれる。SDGsはつながりを見つけることでもある
消費を刺激し、必要以上の消費を喚起するような資本主義の側面は見直す時期に来ている。消費イコール幸せではないのに、値の付かないモノの価値を測れないGDPという歪んだ指標を使っているので、見る目が歪んでいる。本当に大切なものを図るべき。GDPには、汚染などのネガティブな外因性、メンタルヘルスなどポジティブな外因性、天然資源の枯渇、富の偏在などは含まれていない。

イケアジャパンの取り組み

  • 2025年に電力の再エネ100%、2030年に熱分野の再エネ100%を目指している
  • 地球の限界内で行動する。パリ協定や貧困対策を重視し、顧客や従業員の満足を大切にする
  • 物流センターなどはBREEAM認証(イギリス建築研究所建築物性能評価制度)を取得しビジネスメリットにもなっている
  • 2025年に100%ゼロエミEV化、無料の充電設備を配備
  • もったいない精神で大量消費から循環への転換を目指し、2030年までにすべての製品をリサイクル可能としバージンマテリアルの使用を抑える。プラスチックも全廃する。中古家具のリメイクをビジネスにする。テーブルウェアはトウモロコシを原料とし、食料も美味しいベジでフットプリントを1/7に減らす
  • 意図が言葉に力を与える。行動は家庭から。気がつけば知らないうちにあなたも環境保護レンジャー

コミュニティー・オーガナイジング

  • 気候問題は人を怖がらせもするが、「変えよう!」という気持ちになってもらうこともできる。聴き手との信頼関係づくりのスキルを学びました
  • 人々が共通の目標を達成できるためのリーダーシップ
  • 「ストーリーづくり」、「関係性づくり」、「チームづくり」、「戦略づくり」そして「行動」の5段階で考える
  • 戦略と同時に心で納得してもらうこと、ナラティブが大切
  • 「今のストーリー」:緊急性の理由、「私のストーリー」:自分が何故関わるのか、「私たちのストーリー」:その場の想い、共に経験したもの、を伝える
  • 感情を経験しないと人は動かない。私のストーリー、想いのきっかけ、痛みと希望、何が大切かの再認識
  • ワーク:「気候問題に取り組むあなたを突き動かす原動力」の自分のストーリーを3分で語り、聴き手からフィードバックをもらう

プレゼンテーションをマスターする

  • 数々のプレゼンを重ねてきた先輩からゴア氏のプレゼン資料の活用方法、プレゼンのコツなどを伝授いただきました

次のステップ

  • クライメイト・リアリティーのリーダーとして、クライメイト・リアリティーのネットワークとつながってこれからどんな活動ができるのかのご説明。
  • 毎年行われている"24 Hours of Reality"、今年は11/20-21に開催予定。このタイミングで周囲にプレゼンする機会をつくりましょう。
    (※ ウェブで24時間中継があるので、ぜひ見ましょう。去年の日本のパートはこのトレーニングでも司会された小松氏がナビゲート役で、環境への取り組みに熱心なローラさんも頑張ってました。)

ネットワーキング・分科会セッション

  • 企業やNGO、学生など5つの分科会に分かれてネットワーキングしました

気候行動のためのチェンジエージェント

  • 日本の平均のゴミのリサイクル率は20%だが、上勝町は80%。そもそもゴミがでないように努力している。
  • 秘訣を聞かれるが魔法の杖はない。30年の積み重ねと戦略性の結果。1:8:1または2:6:2を理解する。推進と反対の両極のいるのはわずかな人で、中間の多数派はより意識の高い方、より良いシステムの方、他の人がやっている方に流れる。
  • プラごみを減らすコツ:お店でストローを断る時に、「ストロー要りません」とはっきり伝える。これを何人もがやると店員は断られるという嫌な体験を嫌って「ストロー要りますか?」と聞くようになる。それで当たり前と思っていた人にも意識の変化が生まれる。友達と一緒の時にも目の前ではっきり断ると友達にも広がるかも。
  • グレタさんのスピーチの本質は「普遍性」。だからこれだけの広がりをみせている。
  • 温暖化のティッピングポイントを超える前に、一人ひとりが行動の輪を広げて、市民のティッピングポイントを超えよう。
  • CO2は公害であり、1.5℃は77億人の命の問題と捉えよう。一度、気候災害の被災地に足を運ぶことをお勧めする。現場を見ると驚くほど意識が変わるから。

ということで、怒涛の二日間、懐かしい面々との再会や新たなつながりもでき、社会の第一線で気候危機に立ち向かう人たちの話に触れて興奮を禁じ得ない自分がいる、ということはなく、明日からまた日常に戻り、多数派の人たちの無関心や再エネへの反発・無理解、再エネ導入や社会を変えることの難しさに向き合うことを考えると、この場とのギャップに何とも言語化しずらい感覚が湧いてくる。でも、以前と違っているのは、日常に戻ったときに共に歩んでくれる仲間たちがいること。共に気候危機に立ち向かおうとする仲間がたくさんいてくれること。

クライメイト・リアリティーのトレーニングに参加しました(その1)

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アル・ゴア氏が立ち上げたクライメート・リアリティー・プロジェクトのトレーニングに参加してきました。二日間のトレーニングは国内外から参加者約800人、約30人にも及ぶ豪華な講演者やパネリスト陣。初日は知識を身につけ、二日目は知識を行動に変える、をテーマでびっちり学んできました。

前日くらいから体調を崩し、情報量の多さに圧倒され、内容を書きとるのが精一杯で、自分なりに消化する余裕もないまま、初日は終了。自分なりのポイントは以下かな。

  • 世界では企業など多くの非国家主体が、1.5℃目標と整合する取り組みを進めることがトレンドになっている
  • その中でも金融の果たす役割は非常に大きく、国内の金融機関にも大きな変化が起きている
  • 世界では石炭火力からの撤退のトレンドは著しく、日本の新規石炭火力を止められるか否か、日本のCO2排出量を削減するうえで非常の重要
  • 気候変動対策は、単にエネルギー転換を目指すものではなく、SDGsとの整合をとりながら、あらゆる分野に及ぶ


以下、ほとんど覚え書きですが、初日の内容を紹介します。

グローバルな協力の現状

  • 考えられてきたよりも、気候の影響が大きく現れている
  • 今や多くのイニシアティブ(連合体?)が行動していて、1.5℃を目指すのがトレンドになっている
  • 金融界では、経済が地球の限界(プラネタリバウンダリ)を超えたという本質的な認識が広がっている。制度や生き方を変え、経済をサーキュラー(循環型)に移行するべき。
  • 官民協働でエネルギー効率の年3%向上を目指す"Three percent club"が成果を上げている
  • 気候変動の問題だけでなく、SDGsの17のゴール、169のターゲットはすべてつながっていて、すべて同じこと。
  • ネット・ゼロ・アライアンスのように、非国家主体もパリ協定と整合すべく、2020年の目標引き上げ、2050年ゼロを目指す動きが広がっている。
  • 気候行動サミットでは、科学には疑う余地はなく、ソリューションに焦点が当たっていた。食品ロスや牛など資源集約型農業など、食と土地利用で3割が解決できると言われている。食品ロスは温室効果ガス排出の8%を占めている
  • 昨日、食品ロスの法律が制定された。アプリを使って余った食材を把握してシェアするなど、新しいビジネスが広がっていて、チャンスと捉えるのが大切
  • バックキャスティングで脱炭素化を目指すべき。今できることの積み上げでは解決できない。イノベーションを体験し、解決策を広げること。IOTによるエネルギー効率化にも期待。
  • 10年で半減するには、制度の改革が必要。競争力に直結する企業も「2030年に50%」の転換を求めている。世界の電力分野の変革で再エネがコストダウンする中、石炭火力を国内外でどうするか、輸入燃料に頼らないためにはどうするのか?

    まとめ
  • 未来像はしんどくないものであるべき。みんなでチャンスを見つけよう
  • グレタさんのスピーチにあるように、我々の生活が将来の選択肢を狭めている。知ったものがつながること。RE100(企業が自社の消費エネルギーを再エネ100%にしようという運動)もつながるからこそ実現できる。
  • 気候変動には反対されても、SDGsには賛成してもらえる場合が多い。正面突破より側面から攻める手もある。目標を作りことで進む。知恵が集まる。


気候の危機とその解決策

 二時間半に渡るアル・ゴア氏の圧巻のプレゼンテーション。

 以下に詳細レポートがアップされていたので、内容は割愛。

www.sustainablebrands.jp

一点だけ。ゴア氏が指摘する国家の化石燃料への潤沢な補助金の現状を国民がしっかり認識して、そこに自分たちの血税を使わないようにと国に言い続けていく(または報道機関に伝えてもらう)のはとても大切かと思います。

石炭と気候の危機

  • 国内で30年前には電源構成比率が10%程度だった石炭は、安く安定的に入手可能であるため増え続け、現在は30%程度
  • 国内で計画された新規石炭火力発電所50件のうちキャンセルは13件、15件が建設中であり、これらは新規、既存含め石炭火力全体で7400万トンのCO2を排出することになる。実に1,500万世帯分に相当。
  • 妊婦さんは水銀を含む魚の摂取を制限されているが、それらの水銀は石炭火力発電由来であるとも言われており、大気汚染含め、国民の健康へ影響を与えていることがあまり知られていない
  • 国内では製造業が再エネの製造からも撤退する中、高効率火力の製造で産業や雇用を守りたいという向きもある
  • TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)で重視している、座礁資産などの「移行リスク」、台風などの「物理リスク」を踏まえ、国内でも新規石炭火力には投資しない大手金融機関も出てきている
  • CCS(CO2回収や貯留の技術)は欧米でも5年前には盛り上がっていたが、パリ協定発効後、再エネへ重点投資へとシフトし、今は下火。にもかかわらず、周回遅れの日本は今頃CCSが盛り上がり出している。
  • カーボンプライシングに向かうべきところが、国内では託送料金が石炭火力が有利で、再エネが不利になるように制度が変更になろうとしている。
  • ブルームバーグによれば、2024年には太陽光発電が5~6円になると言われていて、今でも7円のものが存在している。
  • Transition Finance(OECDが立ち上げた取り組み)などでは、(CO2排出の実効性が)ポジティブであるか、ネガティブでないかが重視されている。グリーンウォッシュやSDGsウォッシュには厳しい
  • 企業単体だけでなく、サプライチェーン含めて1.5℃目標達成を目指す動きが広がっている。リアリティーを見なければ競争力を失う
  • 市民が声を上げたことで撤退した石炭火力発電の計画がいくつもある。市民も影響を与えられるという意識が大切

クリーンエネルギーの未来

  • RE100により、再エネの需要があることが顕在化している
  • 再エネは無理だという人がいるが、Google「できるかできないか分からないから、俺たちがやる」と言っている。
  • 8兆円にも上る原油コストを、別なものに振り分ければ、たくさんのことができる。例えば地方再生に再エネを導入するとか
  • 自然電力は、原発約一機分1.4GWの電力を扱う地域のエネルギー会社。限界エネルギーはゼロ。
  • 地域の経済循環だけでなく、カルチャー・コミュニティー・インフラが大切。人が豊かに楽しく暮らせること。
  • 美しい町をつくれば、人は感性に惹かれてやってくる。エネルギーから先を考えたい。
  • 再エネは反対されない。国民負担を減らしながらいかに最大導入するか。コストダウン、送電、地域共生が鍵。
  • 今はコストが高い。連携コストはドイツの3倍。海外と協力してコストダウンしたい
  • Climate Dacade(気候の10年)の時代、エネルギー、食、衣料、建築、プラスチック、すべてが関わること。脱炭素化、サーキュラー・エコノミーがポイント

 二日目に続く。 

森に教わる地球での暮らし

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講座の様子

4月の自然エネルギーお話会がきっかけで、裏磐梯エコツーリズム協会の方からお声がけいただきまして、先日、お子さん向けの森林講座を担当させていただきました。

 当初は、森林体験を通じて、自然エネルギーのことや環境問題についてお伝えするつもりだったのですが、小学生低学年のお子さんにも分かりやすく、ということで、相方さんにもアドバイスもらいながら、森がいかに優れた循環システムなのかを体験を通して学んでもらう、という内容でお話させていただきました。

 取っつきづらい内容で、講師の知名度も低いせいか、参加者は少なかったのですが、その分、参加者とのやり取りもたくさんできて、やってみて良かったです。この講座を通じて参加された方々の森や植物に対する畏敬の念がより深まったのならうれしい限りです。

ちなみに以下、エコツーリズム協会さんのレポートです。

www.eco-urabandai.com