未来を救った世代?

6月10日、政府は温室効果ガス排出削減の中期目標を「05年比15%減」とする方針を正式に発表しました。これは1990年比にすると8%減という目標値になります。

IPCCは、地球温暖化を抑えるために先進国は2020年までに90年比で25~40%削減しなければならないと試算しており、日本に求められる40%削減に対して、余りにもかけ離れた目標であり、国内外から失望の声が上がっていると言います。

再生可能エネルギーの第一人者、飯田哲也氏は日本が世界の潮流から取り残されつつある理由を以下のように分析しています。

「マル激トーク・オン・ディマンド 第427回(2009年06月13日)」の紹介文より引用します。

http://www.videonews.com/on-demand/421430/001044.php

「なぜ、日本はグリーン革命に踏み切ることができないのか。飯田氏は、経済界に地球温暖化についての共通認識がなく、政治もイニシアチブを取れていないことに、原因は尽きると言い切る。特に、発電から送電までを独占し続ける日本の電力会社は、原子力にしがみついたまま、世界のダイナミックな変化に全く対応できていないというのだ。

しかし、それよりも更に重大な問題を日本は抱えていると飯田氏は言う。それは、日本がEU諸国やオバマ政権のように、世界の最先端で提案された知的蓄積を、自国の政策に活かす仕組みを持っていないことだ。官僚が省益だけを考え、独占企業が自分達の利益だけを考えて、政策を主張する。日本の政策はそれをつぎはぎにしたものでしかないため、国際的な知の蓄積が全く反映されないというのだ。

世界がグリーン革命に向けて猛スピードで走り始める中、日本はどこまで取り残されてしまったのか。遅れを取り戻すための処方箋はあるのか。飯田氏とともに議論した。」

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麻生首相首相官邸のメルマガで、今回の目標が非常に野心的な目標であり、自分達が未来を救った世代になるのだと述べています。

http://www.mmz.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2009/0611tm/0611.html

地球温暖化による最悪の事態を回避できるか否か、経済大国日本の去就が今後益々経済発展を遂げるであろう中国やインド、温暖化対策に煮え切らない態度のカナダ、オーストラリアなどの国へ、ひいては世界へ与える影響は大きく、「未来を救った世代」どころか、「未来を救う決断をしなかった世代」といわれても致し方ない状況と言えるでしょう。

コペンハーゲンサミットに向けて、政府が更に高い目標を掲げるよう市民側から働きかけていくことが、今後ますます重要になってきます。


参考)

環境メールニュース~日本の中期目標について

http://www.es-inc.jp/lib/archives/090617_093819.html